シェアハウス ロージーズの管理人。 恋愛関係のトラブルで、入居者が三人いっぺんにいなくなってしまい、新しい入居者募集のためにYouTubeで宣伝を始め、入居者や友達を半ば無理やりYouTube動画に出演させている。
父親(1940年生まれ)は比較文化論の研究者。専門はポストコロニアリズム研究で、一時期ハワイ大学に在籍していたこともあり、さやも小学校の数年間はホノルルで過ごしている。
家に留学生をステイさせることも多かったので、文化的背景の違う人と一緒に暮らすことにあまり抵抗はない(その分、抵抗のある人の気持ちがよく理解できない)。
遅くできた子供で、いとこもみんな大人になってから生まれたので、とにかく周囲から可愛がられた。そのせいか、空気読めない、気遣いできない、天真爛漫な性格に育つ。
子供の時、一番仲が良かったのは近くの団地に住む少女、李 美雨(メイユイ/みう)。名前に日本語読みと中国語読みの2パターンがあるのが羨ましく、平仮名である自分の名前を呪った。美雨とさやが仲良くなったのは、実のところ、二人とも周囲からハブにされていたからなのだが、さやはその事実に未だ気付いていない。
素直だけど、決して優等生とは言えないさやの将来を心配し、カリスマ塾講師のいとこが高校受験を徹底サポートしてくれる。傾向と対策が功をなし、なんとか有名大学付属の高校に滑り込むが、汎神論者のさやは、カソリックの精神を大事にする校風に反発を覚える。黙って流せば良いものを、いちいち反論や疑問を口にするさやに、先生も生徒もゲンナリする。韓国ドラマ同好会や英国文学研究会、音楽劇部など、マジョリティに属さない人たちが集まる場所でそれなりに楽しくやっていたが、高校2年生の時、学校の神父さんから交換留学をすすめられる。ちょうど「高慢と偏見」にはまっていた時期だったので、嬉々としてイギリスの姉妹校へ。多国籍でマイペースな人の多いイギリスでさやは楽しい日々を過ごすが、帰国したら周囲は完全に受験モードで全く勉強についていけず、高校3年生を2度やる羽目になった。さらにその後、父親のフィールドワークについて行ったりして、大学でも1年留年している。しかも面白くない授業では居眠りばかりして、必修科目の単位を2度までも落としそうになるが、テスト前に青ざめていたさやを見かねた里花が、自分のノートを貸してくれ、なんとか乗り切れた。さやの父親は「一人娘のピンチを救ってくれた里花さんにお礼をしたい」と、里花を家に招き、家族総出でおもてなしをする。
ボランティアガイドをしたり、地域のイベントを手伝ったり(人数が足りない時は里花を強引に引っ張っていく)、学業以外で忙しかったが、卒論は父親に半分書いてもらい、無事卒業。氷河期で就職浪人になるかと思いきや、ボランティアガイド仲間のおじさんが専務をやっていた外資系の小さな広告代理店に拾ってもらえた。少人数ながら多国籍の職場で、ずさんだけどアイディア豊富なさやの個性も認めてもらえた。しかし5年ほどで会社は日本の大手代理店に吸収合併される。いきなりザ・日本企業になり、さやは社風にも新しい上司にも全く馴染めず、結局、退職。退職したさやは地域のイベントを手伝いながら職探しを始めるが、両親や親戚は30を過ぎても結婚する気配がない上に無職になってしまったさやを心配し、結婚相手を世話しようと躍起になる。「1年以内に職が見つからなければ、とにかく1度、お見合いしなさい」と言われるが、好ましい就職先が見つからないまま1年が過ぎようとしていた。お見合いしたくなくて頭を抱えるさやに救いの手を差し伸べてくれたのは、意外にも、ずっと専業主婦をやっているイトコの直美だった。家をシェアハウスにするので手伝ってほしいと言う申し出に、さやは飛びつく。